アマゾンのカナダ市場拡大戦略
アマゾンは2026年から2029年にかけてカナダにおける荷物取扱量を40%以上増加させる計画を社内文書で明らかにしています。現地での即日配送比率向上や履行能力の拡充を目指し、最長1000マイル圏内で93%の荷物を処理する目標を掲げています。米加間の貿易緊張が高まる中でも、カナダ市場の成長を重視しています。
関税引き上げがサプライチェーンに与える影響
2026年7月20日、米国政府はカナダからの一部輸入品に対して最大50%の追加関税を課しました。これによりアマゾンは、3月時点でカナダ発の直接仕入れの一部を米国から中国へ切り替え、コスト増加回避を図っていたことが判明しました。カナダは米墨加協定での保護があるものの、貿易政策の不確実性が経済のリセッションリスクを高めるとの警戒も示されています。
9月8日からはカナダ側も米国からの消費財に報復関税を導入予定で、家電や電子機器などが影響を受ける見込みです。アマゾンの第三者出品者向け「遠隔履行」サービスも影響を受ける可能性があり、米国倉庫に在庫を保持しカナダ顧客へ配送する仕組みが調整を余儀なくされそうです。アマゾン広報は現時点で価格への大きな変動は確認されておらず、競合と比較して価格競争力は維持していると述べています。
激化する競争を背景に配送力強化へ
アマゾン内部資料によると、ウォルマート、ロブローズ、ベストバイなどカナダ国内の主要小売企業が配送能力を急速に強化しており、アマゾンに対する圧力となっています。アマゾンはカナダのプライム会員に約54.5%の即日配送を提供していますが、競合各社は70%から85%の2~4時間配送を実現しています。アマゾンは新たな履行センターの設立や配送比率の見直しを進め、競争対応を図ります。
ウォルマートは2026年6月にカナダ版の「Walmart+」を導入し、無制限の即日配送サービスを開始しており、市場競争をさらに激化させています。
コスト効率を踏まえた配送モデルの見直し
アマゾンはカナダにおけるラストワンマイル配送のコストを精査した結果、自社配送よりも第三者委託の方が約半分のコストで済むことが判明しました。12拠点を追加した従来型配送ステーションでは、5年でマイナスの投資回収率となっているため、より低コストの協力配送モデルへのシフトを進めています。広報担当者は、拡大計画は現在も調整中であり、今後具体的な発表を行う予定としています。
長期投資とリスク管理に注力
2010年以降、アマゾンはカナダへ650億カナダドル以上を投資し、従業員数は4万6000人を超えています。同社は迅速配送の強化、商品ラインアップの拡充、価格競争力の維持に注力する構えです。一方で、関税政策の変化が事業に及ぼす影響を注視し、複雑な国際貿易環境の中で顧客利益の保護と業務革新を両立させることを目指しています。